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2025/5/13

業界横断 副業・兼業者の実態調査

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本調査の背景

近年、政府主導の働き方改革により副業・兼業の促進が急速に進んでいます。2024年の「新しい資本主義」実行計画では労働時間通算ルールの見直しが示され、制度は転換期を迎えました。しかし「どの業界で、どのようなトラブルが、どの程度起きているのか」を示す客観データは限られており、企業人事・行政担当者・働き手はリスク評価や制度運用になお課題を抱えています。

本調査は全国の20〜65歳8万9,168名(副業実施者7,569名)を対象に、14業界97業種を横断した調査を行いました。本調査では副業の実施率・収入・時間に加え、制度理解、職場寛容度、トラブル発生率を整理し、業界別リスクを可視化しています。

さらに副業率とトラブル発生率を掛け合わせた「副業リスク総量」を算出したところ、農林水産・不動産・製造が高リスク、教育・医療・福祉が低リスクに分かれる三層構造が浮かび上がりました。また、競業や情報流出の懸念が高い業界ほど「服務規定は守っている」と認識しながら機密情報の流用が確認されるなど、規範意識と実践の乖離も見受けられました。

本報告書は、副業を安全かつ持続的に活用するための論点を整理し、個人・企業・政策立案者がより適切な判断を行う際の基礎資料となることを目指しています。

引用について:本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:株式会社フクスケ「業界横断 副業・兼業者の実態調査」

サマリ

業界は副業率×トラブル発生率=トラブル総量でリスク度合いを3つに分類可能

副業率×トラブル発生率で見る本業先の業界別のリスク分類は下記図の通り。

高リスク業界
副業率が高くてトラブル発生率も高い、トラブル総量が多いと考えられる業界

中リスク業界
高リスクと低リスクの中間

低リスク業界
副業自体が少ない、もしくはトラブル発生率が低く、トラブル総量が低い業界

業界は副業率×トラブル発生率=トラブル総量でリスク度合いを3つに分類可能

業界(n=7,569)副業率
農林水産業24%
建設業15%
製造業14%
電気・ガス・水道業13%
情報通信業15%
出版・印刷業12%
メディア・マスコミ・広告13%
運送・輸送業13%
商社・卸売・小売業12%
不動産業20%
調査業・シンクタンク15%
サービス業16%
教育業17%
医療・福祉14%

高リスク業界特徴

低リスク業界特徴

高リスク業界・低リスク業界の関係

低リスク業界のうち、教育業、医療・福祉は規範意識が上位。高リスク業界は、総論として「服務規定を遵守している」のスコアが全体と同水準であるものの、各論では「機密情報の流用」等が発生。リスク確認には個別具体での確認が必要であることが窺える。

調査結果① 各業界の副業・兼業実態

業界別 副業率

業界別の副業・兼業収入の平均を確認。
最も高いのが建設業で76,978円、農林水産業が76,618円で次ぐ。最も低いのは運送・輸送業、教育業で、どちらも5万円を下回り同水準。

業界別 副業率

業界(n=89,168)副業率
農林水産業24%
建設業15%
製造業14%
電気・ガス・水道業13%
情報通信業15%
出版・印刷業12%
メディア・マスコミ・広告13%
運送・輸送業13%
商社・卸売・小売業12%
不動産業20%
調査業・シンクタンク15%
サービス業16%
教育業17%
医療・福祉14%

業界別 副業収入

業界別の副業・兼業収入の平均を確認。
最も高いのが建設業で76,978円、農林水産業が76,618円で次ぐ。
最も低いのは運送・輸送業、教育業で、どちらも5万円を下回り同水準。

業界別 副業収入

全体(n=89,168)60,828
農林水産業76,618
建設業76,978
製造業66,469
電気・ガス・水道業64,591
情報通信業63,684
運送・輸送業48,471
商社・卸売・小売業58,407
不動産業68,782
サービス業57,714
教育業46,948
医療・福祉58,616

業界別 月間副業時間

業界別の副業・兼業時間の平均を確認。最も多いのが農林水産業で28時間。建設業、電気・ガス・水道業、25時間前後で次ぐ。最も少ないのが教育業で18時間、医療・福祉で19時間と、どちらも20時間を下回る。

業界別 月間副業時間

全体(n=89,168)21.9
農林水産業28.1
建設業25.5
製造業21.3
電気・ガス・水道業24.8
情報通信業20.8
運送・輸送業23.0
商社・卸売・小売業21.4
不動産業22.6
サービス業23.7
教育業17.8
医療・福祉19.1

業界別の副業時間×副業収入の関係

業界別の副業・兼業時間と副業収入の関係性を確認。回帰線を下回る運送・輸送業については副業時間に対して収入が低く、回帰線を大きく上回る不動産業、建設業は副業時間に対しての収入が大きいことが読み取れる。

業界別の副業時間×副業収入の関係

全体(n=89,168)副業時間副業収入
全体21.960,828
農林水産業28.176,618
建設業25.576,978
製造業21.366,469
電気・ガス・水道業24.864,591
情報通信業20.863,684
運送・輸送業23.048,471
商社・卸売・小売業21.458,407
不動産業22.668,782
サービス業23.757,714
教育業17.846,948
医療・福祉19.158,616

業界別の副業内容 農林水産業、建設業、製造業、・電気・ガス・水道業

農林水産業、建設業は本業と同業界での副業が20%を超えて多い一方、製造業ではその割合が13%と相対的に低い。電気・ガス・水道業は全く関係のない副業内容が上位。

業界別の副業内容 情報通信業、運送・輸送業、商社・卸売・小売業、不動産業

情報通信業、運送・輸送業、商社・卸売・小売業、不動産業では、本業との同業界での副業が25%以上と全業界でも高い。特に不動産業はそのバリエーションが多岐にわたる。

業界別の副業内容 サービス業、教育業、医療・福祉

教育業、医療・福祉では同業界の副業の従事率がとりわけ高く、30%を超える。一般的に言われている人不足を副業で賄っている実態が窺える。

調査結果② 各業界の副業・兼業許可実態

業界別 副業制度理解率

業界別の、副業許可制度の理解率を確認。最も理解率が高いのが情報通信業で唯一80%を超える。一方で運送・輸送業、商社・卸売・小売業では65%に留まり、制度浸透に課題があることが読み取れる。

業界別 副業制度理解率

全体(n=7,569)72.7%
農林水産業75.5%
建設業76.5%
製造業79.3%
電気・ガス・水道業79.1%
情報通信業82.1%
運送・輸送業65.5%
商社・卸売・小売業64.8%
不動産業77.6%
サービス業69.1%
教育業71.1%
医療・福祉70.8%

業界別 副業許可率

副業制度認知者に対し、制度としての副業許可の割合を聴取。届出のみでの許可が多いのがサービス業、教育業で、約60%。一方で、運送・輸送業、商社・卸売・小売業では30%を超え副業禁止の割合が多い。

業界別 副業許可率

全体(n=7,569)届出のみで副業可能審査の上、許可制で副業可能副業は原則禁止されている
全体50%28%22%
農林水産業49%35%16%
建設業41%30%28%
製造業45%33%22%
電気・ガス・水道業41%38%21%
情報通信業44%37%19%
運送・輸送業49%19%32%
商社・卸売・小売業51%19%30%
不動産業41%33%26%
サービス業59%26%15%
教育業57%29%14%
医療・福祉55%24%21%

業界別 副業寛容状況

業界別の、職場としての副業許容度を確認。農林水産業、サービス業、教育業、医療・福祉がいずれも「寛容だと思う」が40%前後と高く、それ以外の業界は30%前後に留まる。特に建設業、不動産業は26%前後と最も低い。

業界別 副業寛容状況

全体(n=7,569)寛容だと思うやや寛容だと思うどちらでもないあまり寛容ではない寛容ではない
全体33.0%27.2%24.4%8.8%6.6%
農林水産業39.2%32.4%17.6%8.3%3.9%
建設業26.0%32.0%22.9%12.8%6.4%
製造業27.1%32.4%24.2%9.5%6.1%
電気・ガス・水道業29.5%27.3%29.5%10.0%5.5%
情報通信業27.0%34.2%23.0%9.7%5.9%
運送・輸送業29.9%18.5%30.3%9.6%11.1%
商社・卸売・小売業33.5%24.9%26.9%8.5%6.3%
不動産業26.3%31.1%23.0%15.1%3.4%
サービス業40.2%22.8%26.5%5.0%5.5%
教育業40.2%27.9%20.0%6.5%6.2%
医療・福祉38.2%24.8%21.8%7.4%7.8%

副業許可率と寛容状況の相関関係

制度としての許可率と職場の寛容度の関係では強い相関(0.88)が見られ、制度として許可されているほど、職場風土としての寛容度が高まることが定量的にも確認できる。

副業許可率と寛容状況の相関関係

全体(n=7,569)届出のみで副業可能寛容だと思う
全体50%33%
農林水産業49%39%
建設業41%26%
製造業45%27%
電気・ガス・水道業41%30%
情報通信業44%27%
運送・輸送業49%30%
商社・卸売・小売業51%33%
不動産業41%26%
サービス業59%40%
教育業57%40%
医療・福祉55%38%

副業によって得た不利益 業種別ランキング

業界共通してに「相談できる人がいない」「上司からの圧力」「昇進や仕事の機会を逃した」が上位。一方で農林水産業では「申請の拒否」、電気・ガス・水道業、情報通信業では「同僚からの嫌がらせ」が上位に入るなど、違いが見られた。

副業・兼業に対する組織の方針や上司・同僚の反応による、離職検討

副業・兼業に対する組織の方針により、離職検討をする労働者も一定存在。特に農林水産業従事者が最も多く、57%。製造業、情報通信業、建設業が同様に50%前後で次ぐ。

副業・兼業に対する組織の方針や上司・同僚の反応による、離職検討

全体(n=7,569)副業対応による離職懸念
全体40.1%
農林水産業56.9%
建設業47.6%
製造業51.9%
電気・ガス・水道業45.5%
情報通信業49.2%
運送・輸送業33.2%
商社・卸売・小売業32.0%
不動産業39.2%
サービス業36.3%
教育業34.1%
医療・福祉33.8%

調査結果③ 各業界の副業リスク総合評価

業界別 トラブル発生率

トラブル発生率が最も高いのは、農林水産業で50%で約半数。次いで、製造業、建設業、不動産業が40%台と高い一方で教育業、医療・福祉はトラブル発生率が21%と低く、リスクコントロールができている様子が窺える。
※会社員(正社員・契約・派遣社員) パート・アルバイトn=89,168

業界別 トラブル発生率

業界(n=89,168)トラブルが発生したことがある
農林水産業52%
建設業40%
製造業46%
電気・ガス・水道業37%
情報通信業39%
出版・印刷業28%
メディア・マスコミ・広告30%
運送・輸送業23%
商社・卸売・小売業29%
不動産業40%
調査業・シンクタンク35%
サービス業33%
教育業21%
医療・福祉21%

業界別 副業率×トラブル率

低リスク業界のうち、教育業、医療・福祉は規範意識が上位。高リスク業界は、総論として「服務規定を遵守している」のスコアが全体と同水準であるものの、各論では「機密情報の流用」等が発生。リスク確認には、個別具体での確認が必要であることが窺える。

業界別 副業率×トラブル率

業界別(n=7,569)本業の副業に関する服務規定は遵守している
全体53.3%
農業・林業・漁業・鉱業58.3%
建設業50.4%
製造業52.6%
電気・ガス・水道業51.8%
情報通信業51.3%
運送・輸送業47.0%
商社・卸売・小売業48.8%
不動産業57.1%
サービス業50.4%
教育業64.4%
医療・福祉59.1%
業界別(n=7,569)本業で得た機密情報やプログラムコードを副業で利用したことがある
全体25.0%
農業・林業・漁業・鉱業40.2%
建設業31.6%
製造業31.8%
電気・ガス・水道業26.4%
情報通信業33.1%
運送・輸送業17.8%
商社・卸売・小売業17.3%
不動産業33.1%
サービス業22.8%
教育業19.7%
医療・福祉20.0%

高リスク業界のトラブル内容ランキング

高リスク業界もその業界特性により、トラブル内容は大きく異なる。農林水産業と製造業は過重労働起因のトラブルが上位で、特に製造業は過重労働の割合が高い。一方の不動産業はイメージダウンとなるような問題が上位と、傾向に違いが見られた。

(参考)業界別トラブル内容ランキング

(参考)業界別トラブル内容ランキング

業界別の副業申請とトラブル発生率の関係

トラブル発生率が最も高い農林水産業は副業届出率も高い。一方で同様に副業届出率が高い医療・福祉、教育業はトラブル発生率が抑えられている。届出有無別に業界別の副業内容がトラブル発生率に影響を与えていると考えられる。

業界別の副業申請とトラブル発生率の関係

業界(n=89,168)副業届出率トラブル発生率
農林水産業43%52%
建設業30%40%
製造業37%46%
電気・ガス・水道業23%37%
情報通信業31%39%
出版・印刷業19%28%
メディア・マスコミ・広告25%30%
運送・輸送業25%23%
商社・卸売・小売業29%29%
不動産業29%40%
調査業・シンクタンク32%35%
サービス業37%33%
教育業45%21%
医療・福祉36%21%

属性情報

[居住地]全国、[年齢]20歳以上 65歳以下、[性別]男女

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