トップ / コラム / 副業と源泉徴収の関係を徹底解説|人事担当者が知っておくべきポイント
2025/11/11

副業と源泉徴収の関係を徹底解説|人事担当者が知っておくべきポイント

この記事をシェア

副業を解禁する企業が増えるなか、社員の税金問題にどう対応すべきか、人事担当者の悩みは尽きません。特に源泉徴収や確定申告は誤解が多く、社員個人の判断に委ねていると後のトラブルに発展する可能性があります。

本記事では「副業と源泉徴収の基本」から、「企業として社員にどうサポートするのか」まで網羅的に解説します。

そもそも源泉徴収とは?

まずは、企業の人事担当者にとって馴染み深い「源泉徴収」の基本的な仕組みから確認しましょう。

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う事業者が、あらかじめ所得税を差し引いて国に納付する制度のことです。給与を受け取る社員本人に代わって、支払い元である会社が所得税を天引きし国に納めます。

多くの企業では、この仕組みに基づき年末調整を行い、社員の年間の所得税額を調整するのが一般的です。ただし、社員が副業で得た収入については、源泉徴収が行われないケースもあります。その場合、社員自身で確定申告を行い、税金を納める必要が生じる点を理解しておきましょう。

 副業における源泉徴収の対象と具体例

社員の副業における収入は、その契約形態によって様々です。また、契約形態や収入の種類が異なれば、源泉徴収の対象になるかどうか、その扱いも変わってきます。ここでは代表的な副業のケースごとに、源泉徴収との関係を解説します。

 給与として支払われる副業

社員が他社でアルバイトやパートとして働き、給与を受け取る副業は最も一般的な形態です。 この場合、副業先の企業でも給与から所得税が源泉徴収されます。

本業と副業では源泉徴収の計算方法が異なり、国税庁が定める「給与所得の源泉徴収税額表」に基づき、本業は「甲欄」、副業は「乙欄」で税額が算出されます。 例えば、月10万円の給与を得る場合、本業では源泉徴収額が720円(扶養親族0人の場合)であるのに対し、副業では3,600円となります。

また、副業の給与所得が年間で20万円を超える場合や、2か所以上から給与を受け取って年末調整されなかった分がある場合には、確定申告が必要です。 源泉徴収が行われている場合でも、税金の過不足を精算するために確定申告を行ったほうが良いケースもあります。 

業務委託・フリーランス契約の副業

業務委託やフリーランス契約での副業は、事業所得や雑所得として扱われることが一般的です。

この場合、収入から経費を差し引いた年間の所得が20万円を超えると、社員自身で確定申告をしなくてはなりません。例えば、副業の売上が22万円あっても、電気代などの経費が3万円かかっていれば、所得は19万円となり申告は不要です。

また、事業所得として認められると、赤字が出た際に本業の給与所得と相殺できる損益通算が可能です。特に副業の開始当初は経費が売上を上回ることもあり、損益通算をすれば全体の所得税額を抑えられる可能性があります。

事業所得として申告するには帳簿付けが必要であり、インボイス制度に登録している場合はその要件に沿った対応も必要です。

 株式・投資による所得と源泉徴収

社員の副業には、株式や投資信託などによる資産運用も含まれます。これらの金融商品で利益が出た場合、所得税と住民税がかかります。証券会社の口座には「源泉徴収ありの特定口座」があり、これを選択すると利益が出るたびに税金が自動的に天引きされるため、原則として確定申告は不要です。

しかし、「源泉徴収なしの特定口座」や「一般口座」で取引して利益を得た場合は、社員自身で確定申告を行わなければなりません。

その際の税率は、利益に対して合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。この税金は給与所得などとは分けて計算される点に注意が必要です。

 不動産や講演料など、不動産所得・雑所得・事業所得に分類される副業

社員が行う副業には、不動産賃貸による収入や、講演料・原稿料といった報酬も考えられます。これらは所得の種類によって扱いが異なり、主に以下の3つに分類されます。

所得の種類具体例特徴
不動産所得・アパートなどの家賃収入不動産の貸付けによる所得が該当
事業所得・講演活動反復・継続して行われる事業活動から生じる所得。帳簿書類の保存が判断基準の一つ
雑所得・単発の講演料や原稿料他の所得に分類されない所得。事業規模に至らない副業の多くが該当

これらの所得は、種類にかかわらず年間の合計額が20万円を超えると、社員自身による確定申告が必要です。企業としては、社員の副業が多様な所得区分に該当する可能性がある点を理解しておく必要があるでしょう。

副業と源泉徴収を巡るよくある誤解

社員が副業を始めるにあたり、税金に関する誤解は思わぬトラブルを招く可能性があります。特に「20万円以下なら申告不要」というルールや、源泉徴収の仕組みについては、社員が誤解しやすいポイントです。

人事担当者としても、社員からの問い合わせに正しく対応できるよう、よくある誤解について確認しておきましょう。

 「20万円以下なら確定申告不要」は本当か?

副業の年間所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告は原則として不要です。しかし、このルールには例外があるため、企業の人事担当者としても注意点を理解しておきましょう。

例えば、以下のようなケースでは副業所得が20万円以下でも確定申告をしなくてはなりません。

  • 医療費控除を受ける場合

  • 住宅ローン控除(1年目)を申請する場合

  • ふるさと納税でワンストップ特例を利用しない場合

これらの控除は年末調整では対応できないため、社員自身での申告が必要です。また、所得税の申告が不要な場合でも、市区町村への住民税の申告は別途必要になる点も重要なポイントです。

この基準となる「所得」は収入から経費を差し引いた金額であり、経費の証拠となる領収書などの保管も社員に周知するとよいでしょう。

 「源泉徴収されていれば安心」は誤解

副業の報酬から源泉徴収がされていれば、税金の手続きは完了したと考える社員もいるかもしれません。

しかし、これは誤解を生む可能性があるため注意が必要です。多くの場合、副業の源泉徴収税額は、その報酬額に一定の税率を掛けて機械的に計算されています。

本業の給与所得と副業の所得を合算して年間の総所得が確定すると、適用される所得税率が変わり、源泉徴収された金額だけでは納税額が不足するケースがあります。会社の年末調整は自社で支払った給与のみが対象であり、副業の所得は含まれません。

そのため、源泉徴収の有無にかかわらず、社員は原則として確定申告を行い、所得税の過不足を正しく精算しなくてはならないのです。

源泉徴収について企業側が気をつけるべきこと

税金の手続きは基本的に社員個人の責任ですが、会社が何も関与しないという姿勢では、意図しない申告漏れなどで社員がトラブルに巻き込まれる可能性があります。

社員が正しく税務処理を行えるよう、企業側から適切な情報を提供し、サポートする体制を整えることが重要です。以下では、企業が社員に対して具体的にどのような説明をすべきか解説します。

 「20万円ルール」など、社員への適切な説明

社員が安心して副業に取り組めるよう、企業側から税金に関する基本的な情報を提供することは、トラブルを未然に防ぐ上で有効です。

特に誤解の多い点については、あらかじめ説明の準備をしておくとよいでしょう。社員に説明すべき主なポイントは以下の通りです。

説明すべきポイント内容の要約
源泉徴収の役割源泉徴収はあくまで税金の前払い
20万円ルールの基本副業の年間「所得」が20万円以下の場合、原則として所得税の確定申告は不要
「収入」と「所得」の違い申告の基準となる「所得」は、副業の「収入」から必要経費を差し引いた金額。経費の記録を残すことが大切
20万円以下でも確定申告が必要なケース・医療費控除を受ける場合
住民税の申告所得税の確定申告が不要な場合でも、市区町村への住民税の申告は別途必要

これらの情報を社内ポータルに掲載したり、説明会を実施したりすることで、社員の税務に関するリテラシーを向上できます。

【まとめ】副業の源泉徴収に関する正しい知識で社員を適切にサポート

社員の副業における源泉徴収や確定申告は、所得の種類によって扱いが異なり、「20万円ルール」など誤解されやすい点が多くあります。人事担当者は、税金の仕組みを正しく理解し、社員へ適切な情報提供を行うことで、意図せぬ申告漏れなどのトラブルを未然に防ぐことができます。

税務に関する不安を解消し、社員が安心して副業に取り組める環境を整えることは、健全な副業制度の運用と従業員との信頼関係構築に繋がります。

📊

資料ダウンロード

フクスケで副業の事故リスクを最小限にする方法など、よくある副業関連の課題とフクスケの事故対策方法、そして安心して副業制度を継続するためのポイントを紹介します。

資料をダウンロードする

運営

フクスケ編集部

この記事をシェアする

関連記事