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2025/9/29

契約社員の副業申請にどう対応する?人事が知っておくべき基礎知識

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契約社員から副業をしたいと申請された際、人事担当者はどう対応すべきでしょうか。働き方の多様化が進む中、無計画な許可は企業リスクにつながる可能性があります。

本記事では、副業に関する法的知識や企業側の懸念点、メリット・デメリットを解説します。

契約社員の副業は合法?法律と制度の基礎知識

契約社員から副業の相談を受けた際、人事担当者は法的な観点から適切な判断が求められます。そもそも副業を許可すべきなのか、どこまで制限できるのか、その判断基準は法律や雇用契約に基づきます。

ここでは、契約社員の雇用形態の基本から、副業を巡る法律上の考え方まで、人事が押さえておくべき基礎知識を解説します。

 契約社員とはどのような雇用形態か

契約社員とは、企業と有期雇用契約を締結し、定められた期間働く雇用形態の社員を指します。労働基準法により、労働契約は一定の事業の完了に必要な場合を除き、3年を超える期間で締結することはできません。

ただし、専門的な知識や技術を持つ一部の労働者については、上限が5年とされています。パートタイマーやアルバイトといった名称であっても、期間の定めのある労働契約を結んでいる場合は、法律上は同じ有期契約労働者に分類されます。

また、人事担当者として知っておくべき重要なルールに「無期転換ルール」があります。

これは、同一の企業で有期労働契約の更新が通算5年を超えた場合、労働者からの申込みによって、期間の定めのない無期労働契約に転換される制度です。この申込みを企業側が拒否することはできません。

 副業を禁止・制限できる根拠

原則として、勤務時間外の活動は社員の自由であるため、企業が副業を一律に禁止することはできません。しかし、副業によって本業の業務に支障が出たり、企業の機密情報が漏洩したりするリスクがある場合は例外です。

また、競合他社での就労によって企業の正当な利益を害する場合や、企業の社会的信用を傷つける行為につながる場合にも、企業は副業を制限・禁止することが認められています。これらの根拠に基づき、多くの企業では就業規則に副業に関する規定を設けています。

 雇用期間の途中での解雇は原則できない

契約社員は、あらかじめ定められた雇用期間が満了するまで雇用が継続されることを前提としています。そのため、期間の定めのない正社員よりも解雇のハードルは高く、契約期間の途中で企業が一方的に解雇することは原則としてできません。

ただし、客観的に見て「やむを得ない事由」があると判断される場合に限り、例外的に解雇が認められることがあります。やむを得ない事由の具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 社員による重大な経歴詐称や、懲戒解雇事由に該当する悪質な規律違反があった場合

  • 事業の継続が困難になるほどの著しい経営悪化により、人員整理が避けられない場合

  • 社員が精神あるいは身体の障害により、長期間にわたって労務の提供ができない場合

これらの事由に該当するかどうかは、個別の状況に応じて厳格に判断されます。安易な解雇は不当解雇と見なされるリスクを伴うため、人事担当者には慎重な対応が求められます。

契約社員の副業を巡る企業側の懸念点

契約社員の副業を認めることは、多様な働き方を推進する上で有効ですが、企業にとってはいくつかの懸念事項も生じます。社員のパフォーマンス低下や情報漏洩など、放置すれば企業の運営に影響を及ぼす可能性のある問題点について、事前に理解しておくことが大切です。

ここでは、人事が特に注意すべき企業側の懸念点を3つの観点から解説します。

 本業への支障

契約社員の副業を認める上で、多くの企業がまず懸念するのが本業への影響です。副業に時間を割くことで社員が十分に休息を取れなくなり、心身に疲労が蓄積される可能性があります。

その結果、本業の勤務中に集中力が散漫になったり、業務の質が低下したりする事態が考えられます。また、深夜に及ぶ副業が原因で、遅刻や欠勤といった勤怠の乱れにつながるケースも少なくありません。

特に運送業や製造現場など、社員の健康状態が業務の安全性に直結する職種では、企業の安全配慮義務に関わる問題に発展するリスクもはらんでいます。これらの事態は、社員個人の問題にとどまらず、チーム全体の生産性にも影響を及ぼすため、事前の対策が求められます。

 情報漏洩や競業避止義務

契約社員の副業においては、情報漏洩や競業避止義務といったリスクへの対策も重要です。社員が本業を通じて知り得た顧客情報や技術情報、独自のノウハウなどを、悪意なく副業先の業務で利用してしまう可能性があります。

たとえ断片的な情報であっても、企業の機密情報が外部に漏れることは、事業上の大きな損害につながりかねません。また、社員が同業他社で副業を行ったり、個人で競合する事業を始めたりすることは、企業の正当な利益を害する「競業避止義務義務」に違反する恐れがあります。

こうした事態を防ぐためには、就業規則で秘密保持義務や競業避止義務義務について改めて明記し、副業開始前に誓約書を取り交わすなどの対策が有効です。

 企業の信用やコンプライアンスリスク

社員の副業が、企業の社会的信用や法令遵守の体制に影響を及ぼす可能性も考慮すべき点です。例えば、社員が副業において不適切な言動を取ったり、トラブルを起こしたりした場合、その社員が所属する企業として世間に認識されれば、ブランドイメージの低下は避けられません。

また、労働時間管理も重要な課題です。本業と副業の労働時間は通算して管理する必要があり、法定労働時間を超えた分については、原則として、先に契約している本業の企業が割増賃金を支払う義務を負う可能性があります。

こうしたリスクを回避するためには、どのような副業を許可するのか、事前にガイドラインを設けておくことが大切です。

契約社員の副業を認めるメリットとデメリット

契約社員の副業を許可するかどうかを検討する際には、企業にもたらされる良い側面と、注意すべきリスクの両方を把握することが重要です。ここでは、副業を認めることのメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

契約社員の副業を認めるメリット

契約社員の副業はリスク管理が求められますが、企業にとって多くのメリットをもたらす可能性も秘めています。適切に制度を運用することで、組織の活性化や事業成長につながる好循環を生み出すことも期待できます。

主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 優秀な人材の定着と確保

  • 社員のスキルアップと事業への貢献

  • 企業イメージと社会的評価の向上

副業を認めることで、社員は収入増加やキャリア形成の選択肢が広がり、企業への満足度が高まります。これは離職率の低下につながり、採用活動においても多様な働き方を許容する企業として魅力を高めることができます。

また、社員が副業で得た新たなスキルや知識、人脈を本業に還元することで、イノベーションの創出や生産性の向上も期待できるでしょう。さらに、柔軟な働き方を推進する先進的な企業として、社会的な評価が高まる点も大きなメリットです。

契約社員の副業を認めるデメリット

契約社員の副業を認めることには、メリットがある一方で、企業が注意すべきデメリットも存在します。これらのリスクを軽視すると、かえって組織運営に悪影響を及ぼす可能性があります。

人事担当者が特に留意すべきデメリットは以下の通りです。

  • 労務管理の複雑化と業務負担の増加

  • 情報漏洩や利益相反といったリスクの増大

  • 社員の帰属意識や職場の一体感の低下

副業を許可する場合、企業は本業と副業の労働時間を通算して管理する必要があり、人事部門の業務は煩雑になります。

また、懸念点として挙げた情報漏洩や競業避止義務が現実的な問題として発生する可能性も高まります。

さらに、社員が副業に重きを置くことで、本業に対するコミットメントが薄れたり、他の社員との間に不公平感が生じたりして、組織の一体感を損なう恐れも考慮すべき点です。

【まとめ】契約社員の副業は適切なルール整備で企業価値向上へ

契約社員の副業は、本業への支障や情報漏洩といった懸念点がある一方で、人材の定着やスキルアップといったメリットも存在します。

人事担当者は、副業に関する法的な知識を基に、リスクを管理するための明確な社内ルールを設けることが求められます。

適切なガイドラインを整備し、社員の多様な働き方をサポートすることで、企業の成長にもつながる好循環を生み出すことができるでしょう。

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フクスケ編集部

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