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2025/9/29

副業と所得税の基礎知識|社員を守るために押さえるべきポイント

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副業制度の運用に際しては、所得税などの税務知識が人事担当者にも求められます。年末調整や社会保険の取り扱いなど、会社の実務に直接関わるポイントも少なくありません。

本記事では、社員と会社を守るために人事担当者が押さえておくべき、副業に関する税務の基礎知識を解説します。

社員の副業と税務リスク|人事が押さえるべき基本ルール

社員の副業に関する税務処理は、基本的には社員個人の責任です。しかし、年末調整の範囲や社会保険の取り扱いなど、人事部の実務に直接影響するポイントも存在します。

ここでは、企業に影響を及ぼす税務上の注意点について解説します。

 副業収入と「20万円ルール」の誤解

社員の副業を考える上でよく耳にするのが「20万円ルール」です。

しかし、このルールは誤解されやすく、正しい知識がないと社員が税務上の処理を間違えてしまう可能性があります。人事担当者として、特に間違いやすいポイントを把握しておきましょう。

間違いやすい例

  • 年間収入が20万円以上でも確定申告が不要なケースがある

  • 所得が20万円以下でも住民税の申告はしなくてはならない

まず、確定申告の要不要は「収入」ではなく、収入から必要経費を差し引いた「所得」で判断します。そのため、副業収入が20万円を超えていても、経費を差し引いた所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則として不要です。

一方、所得が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。所得税の確定申告を行えば住民税の申告は不要ですが、申告を怠るとペナルティが課される可能性もあるため注意が必要です。

 副業の所得区分と影響

副業で得られる所得は、その働き方の実態によって税法上の区分が変わります。税制上「副業所得」という区分はなく、社員の副業で多いのは「給与所得」か「雑所得」です。

  • 給与所得:アルバイトなど雇用契約に基づく所得

  • 雑所得:ライターやデザイナーなど業務委託契約による所得

特に、社員の副業が給与所得にあたる場合は注意が必要です。本業と副業、それぞれの勤務先から発行される源泉徴収票をもとに、社員自身が確定申告で合算して申告しなくてはなりません。

その際、本業と副業の給与収入を合計した金額に対して給与所得控除が適用されます。それぞれの給与に対して個別に控除が適用されるわけではないため、申告時に誤解が生じないよう、企業として情報提供を行うことが望ましいでしょう。

 住民税から副業が発覚するリスク

社員が会社に申告せずに副業をしている場合、住民税がきっかけで会社がその事実を把握するケースがあります。副業が発覚するプロセスは以下の通りです。

  1. 社員が副業の所得を確定申告する

  2. 自治体から会社へ「住民税決定通知書」が届く

  3. 人事部で給与水準に見合わない税額が発覚

通常、会社員の住民税は給与から天引きされる「特別徴収」のため、所得の合計額に応じた税額が会社に通知されます。そのため、自社の給与に対して住民税額が不自然に高いと、他の所得があるのではと推測されるのです。

ただし、確定申告の際に社員が副業分の住民税を「普通徴収」として自身で納付する方法を選択すれば、会社に通知される税額は本業分のみとなります。

こうした仕組みを理解しておくことは、社員の状況を適切に把握し、問い合わせに対応する上でも重要です。

企業に影響するポイント|人事部が知っておきたい税務上の注意点

社員個人の問題と捉えがちな副業に関する税金ですが、内容によっては企業の税務処理や社会保険手続きに影響を及ぼす可能性があります。社員が税務申告を怠った場合、企業の信用問題に発展するリスクも考えられます。

ここでは、企業に直接的な影響を及ぼしかねない税務上のポイントを解説します。

年末調整で処理できない副業所得

会社の年末調整は、あくまで自社で支払った給与に対する所得税を精算するための手続きです。そのため、社員が他社でのアルバイトや業務委託などで得た副業所得を、会社の年末調整で合算して処理することはできません。

副業に関しても年末調整したい社員は、会社で年末調整を受けた後、本業の源泉徴収票と副業の所得に関する書類を用いて、自身で確定申告を行う必要があります。これは、複数の勤務先で年末調整を行うと、控除が重複するなど正しい税額計算ができないためです。

人事担当者としては、年末調整は自社の給与のみが対象であることを理解し、社員からの問い合わせに備えておく必要があるでしょう。

社員の税務違反が企業リスクになるケース

社員の確定申告漏れといった税務違反は、基本的には個人の責任範囲の問題です。

しかし、違反が悪質なケースと判断され報道された場合、「〇〇社の社員が脱税」といった形で企業名が公になる可能性があります。そうなれば、企業の社会的信用やブランドイメージが低下するリスクは避けられません。

直接的な罰則がなくても、企業の管理体制が問われる事態に発展することも考えられます。社員のコンプライアンス意識の欠如が、間接的に企業のリスクとなり得ることを認識しておきましょう。

副業収入が社会保険・住民税に与える影響

副業の働き方によっては、社員の社会保険や住民税の取り扱いに変更が生じ、人事担当者の実務に影響が及ぶことがあります。特に、社員が別の会社と雇用契約を結んで副業を行う場合は注意が必要です。

副業先での労働時間や賃金が一定の要件を満たすと、その職場でも社会保険の加入義務が発生します。この場合、両社の収入を合算した標準報酬月額に基づいて社会保険料が決定され、それぞれの給与額に応じて按分された保険料を各社が納付することになります。

一方、業務委託契約による副業であれば、原則として会社の社会保険手続きに影響はありません。

また、住民税は本業と副業の所得を合算して算出されるため、会社に通知される特別徴収の税額が想定より高くなる可能性があります。社員が確定申告時に副業分の住民税を「普通徴収」にすれば、この限りではありません。

人事が準備すべき社内ルールとサポート体制

社員の副業を健全に運用するためには、人事部による適切なルール整備とサポート体制の構築が求められます。社員が安心して副業に取り組める環境を整えることは、エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。

ここでは、人事部が準備すべき具体的な社内ルールとサポート体制について解説します。

副業規程に盛り込むべき内容

社員の副業を認める際には、税務に関するトラブルを未然に防ぐための社内ルールを明確に定めておくことが大切です。副業規程には、一般的な禁止事項などに加え、税務に関する項目も盛り込むことで、社員と会社双方のリスクを低減できます。

盛り込むべき税務関連の内容

  • 副業所得の確定申告は社員の責任であることの明記

  • 会社の年末調整では副業所得を扱えないことの周知

  • 住民税の徴収方法に関する会社への報告義務

  • 社会保険の適用に関する手続きのルール

確定申告はあくまで社員個人の義務であり、会社が代行できないことを規程で明確にしておくことで、社員の誤解を防ぎ、問い合わせ対応の負担を減らすことができます。

また、住民税の徴収方法や社会保険の加入状況は、会社の人事・労務管理に直接影響を及ぼす可能性があります。そのため、事前に申告・報告のルールを定めておくことで、スムーズな事務処理とトラブルの防止につながります。

社員への情報提供・教育の重要性

副業規程を整備するだけでは、社員の税務に関する疑問や不安を解消するには不十分です。税務知識の不足による申告漏れといったトラブルを未然に防ぐためには、企業から社員への積極的な情報提供や教育が求められます。

社員が安心して副業に取り組める環境を整えることは、企業の責任の一つと言えるでしょう。

提供すべき情報の例

  • 確定申告が必要になる所得基準(20万円ルール)

  • 副業の所得区分(給与所得・雑所得など)の違い

  • 所得税と住民税の申告に関する相違点

  • 会社の年末調整では副業の申告はできないこと

  • 税務署など公的な相談窓口の案内

これらの情報は専門的で複雑な内容も含まれるため、社内ポータルサイトにQ&Aを掲載したり、定期的に説明会を開催したりするなど、分かりやすく伝える工夫が大切です。

適切なサポートを行うことで、社員は税務上の不安なく副業に取り組め、結果として本業への貢献にもつながるでしょう。

【まとめ】副業と所得税の正しい知識が、社員と会社を守る

社員が副業を行う場合、所得税の確定申告や住民税の取り扱いなど、会社の実務にも関わる様々な税務上のポイントが生じます。

企業としては、副業規程で税務申告が個人の責任であることを明確にしつつ、社員がトラブルに陥らないよう正しい情報を提供することが大切です。

適切なサポート体制を整えることで、社員は安心して多様な働き方を実践でき、それが企業全体の成長にもつながっていくでしょう。

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フクスケ編集部

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