社員の副業「SNS運用代行」に潜むリスクとは?人事が知っておくべき実態と対応策を解説
社員の「SNS運用代行で副業したい」という声に、人事担当者はどう向き合うべきでしょうか。この副業は手軽な一方、情報漏洩や詐欺といった、企業が見過ごせないリスクも潜んでいます。
本記事では、副業の実態からトラブルを未然に防ぐための具体的な対策などを詳しく解説します。
SNS運用代行とは?副業としての現状と人気の理由

近年、社員の副業の中でも注目を集めているのが「SNS運用代行」です。ここでは、SNS運用代行とは具体的にどのような仕事で、なぜ副業として人気を集めているのかを解説します。
SNS運用代行の仕事内容
SNS運用代行とは、クライアントである企業や個人の代わりにSNSアカウントを運用する仕事です。社員が副業として行う場合、その業務は多岐にわたりますが、主に以下のような内容が挙げられます。
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アカウントの企画立案
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投稿コンテンツの作成
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投稿作業
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コメントへの返信や「いいね」
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広告の出稿と運用
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効果測定と分析レポートの作成
これらの業務は、クライアントがどのSNS(X、Instagram、TikTokなど)の利用を希望しているか、またどのような成果を求めているかによって、担当する範囲が異なります。
例えば、単純な投稿作業のみを請け負う場合もあれば、アカウントの立ち上げから戦略設計、分析、改善提案まで、コンサルティングに近い役割を担うこともあります。
なぜ副業として人気なのか?
SNS運用代行が副業としてこれほどまでに人気を集めている背景には、企業側の「SNSマーケティングを強化したい」という強いニーズがあります。多くの企業がSNSの重要性を認識し、公式アカウントを開設しているものの、日々の運用に十分なリソースを割けていないのが実情です。
専門知識を持つ人材が不足していたり、他の業務と兼任していたりするため、効果的な運用が難しい企業は少なくありません。このような背景から、SNS運用を外部の専門人材に委託する動きが活発化しており、副業ワーカーにとって豊富な案件が見つかる市場が形成されているのです。
人事が押さえるべきリスク|SNS運用代行副業の落とし穴

手軽に始められるSNS運用代行の副業ですが、その裏には企業にとって見過ごせないリスクが潜んでいます。ここでは、人事が特に押さえておくべきSNS運用代行副業の落とし穴を解説します。
勤務時間中の稼働による業務パフォーマンス低下
SNS運用代行は、投稿やコメントへの返信など、リアルタイムでの対応が求められる業務が多いのが特徴です。そのため、社員が本業の勤務時間中にもかかわらず、スマートフォンで副業の対応をしてしまう可能性があります。
勤務時間中に副業を行うことで、本業への集中力が削がれ、業務効率が著しく低下する恐れがあります。また、副業に時間を取られることで十分な休息が取れず、疲労の蓄積が日中のパフォーマンス低下を招くことも懸念されます。
情報漏洩・企業秘密の持ち出しリスク
社員がSNS運用代行の副業を行う上で、企業が最も警戒すべきなのが情報漏洩のリスクです。特に、同業他社や関連性の高い業界のSNS運用を請け負った場合、その危険性は高まります。
悪意がなくとも、自社で得たマーケティングのノウハウや顧客データ、未公開の製品情報などを、副業先の業務に流用してしまう可能性は否定できません。また、業務で使用するPCの管理が不十分な場合、マルウェア感染などを通じて情報が外部に漏洩するリスクも考えられます。
これらの情報漏洩は、企業の競争力を著しく低下させ、大きな損害につながる恐れがあります。
SNS詐欺・マルチ商法との関わり
SNS運用代行の副業案件の中には、詐欺やマルチ商法といった悪質なものが紛れています。「スマホをタップするだけで稼げる」「フォローするだけで高収入」といった甘い言葉で初心者を誘い込み、高額な登録料や情報商材を要求する手口が典型的な例です。
また、実態はSNS運用代行ではなく、友人や知人を勧誘してマージンを得るマルチ商法(ネットワークビジネス)であるケースも見受けられます。社員がこのようなトラブルに巻き込まれると、金銭的な被害だけでなく、会社の信頼を失墜させてしまう可能性もあるので、十分な注意が必要です。
実際にあったトラブル事例

SNS運用代行の副業に潜むリスクは、実際に様々なトラブルを引き起こしています。人事担当者として、どのようなトラブルが起こりうるのかを具体的に知っておくことで、より効果的な対策を講じることができます。
ここでは、実際にあったトラブル事例を2つ紹介します。
SNS運用の副業詐欺に遭う
SNSの広告から「指定された動画サイトのスクリーンショットを送る」という簡単な副業を始めた結果、詐欺被害に遭った事例です。
この手口では、最初に少額の報酬を支払うことで被害者を信用させます。その後、「専用サイトで暗号資産を取引すれば、振り込んだ金額に30%上乗せして報酬がもらえる」などと、さらに高額な報酬が見込める話を持ちかけます。
指示通りに振り込むと、サイト上では利益が出ているように表示されますが、実際には出金できず、投資した金額をだまし取られてしまうのです。(出典:警視庁)
副業先で自社データを流用
副業が自社と同業種、あるいは関連性の高い業務である場合、社員が意図せずして会社の機密情報を流用してしまうリスクが懸念されます。
実際に2023年、大手通信会社の子会社において、元派遣従業員がコールセンター業務を通じて得た大量の個人情報を不正に持ち出し、外部に流出させる事件がありました。
こうした情報の流用は、企業の信頼を著しく損ない、事業に深刻なダメージを与える可能性があることを、人事担当者は理解しておく必要があります。(出典:NTTビジネスソリューションズ)
SNS運用代行の副業詐欺から社員を守るために
社員がSNS運用代行の副業詐欺に巻き込まれるのを防ぐためには、個人の注意喚起に任せるだけでなく、企業としての積極的な対策が求められます。
トラブルを未然に防ぎ、社員が安心してキャリアを築ける環境を整備することは、人事担当者の重要な役割です。
ここでは、社員を副業詐欺のリスクから守るために企業ができる具体的な取り組みを解説します。
SNS副業に関するリスク啓発の実施
社員がSNS副業に潜むリスクを十分に認識していないケースは少なくありません。
そのため、企業としてSNS副業に関する正しい知識や注意点を周知し、社員一人ひとりのリスク管理意識を高めるための啓発活動を定期的に行うことが重要です。具体的な啓発活動としては、以下のようなものが考えられます。
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社内研修やセミナーの開催
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社内ポータルサイトや社内報での情報発信
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具体的な詐欺事例の共有
研修では、外部の専門家を講師として招き、法的なリスクや最新の詐欺手口について解説してもらうのも効果的です。また、社内報などで定期的に注意喚起を行うことで、社員の意識を継続的に高めることができます。
実際にあった被害事例を共有することは、社員がリスクを自分事として捉え、より慎重に行動するきっかけとなるでしょう。
副業相談窓口の設置
リスク啓発と並行して、社員が副業に関する疑問や不安を気軽に相談できる専門の窓口を社内に設置することも有効的な手段です。
相談窓口は、副業を始める前の事前相談の場として機能させることで、怪しい案件に手を出す前にリスクを回避できる可能性が高まります。また、万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合でも、社員が一人で抱え込まずに済むという安心感を与え、迅速な問題解決につなげられます。
このような窓口を設けることは、企業が社員の副業状況を管理しやすくなるだけでなく、社員が安心して働ける環境を整備するという企業の姿勢を示すことにもなります。
【まとめ】SNS運用代行の副業リスクを理解し、社員と企業の成長へつなげる
SNS運用代行は手軽さから人気の副業ですが、本業への支障や情報漏洩、詐欺といった企業にとって見過ごせないリスクも潜んでいます。
人事担当者には、これらのリスクを正しく理解し、リスク啓発や相談窓口の設置といった具体的な対策を講じることが求められます。
企業が適切なルールを設けてサポートすることで、社員は安心してスキルアップに励み、その成長が企業への貢献にも繋がるでしょう。
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