社員が行政書士を副業にしたいと言ってきたら?人事が押さえるべき基本と対応方法
社員から「行政書士の資格を活かして副業をしたい」と相談されたら、人事担当者や経営者はどのように対応すべきでしょうか。
近年、スキルアップや将来の独立を見据えて行政書士の資格を取得し、副業を希望する社員が増えています。この記事では、行政書士の副業が注目される理由から、具体的な業務内容、企業側が抱える懸念点、そして適切な対応方法までを詳しく解説します。
なぜいま「行政書士の副業」が注目されているのか?

近年、働き方の多様化が進む中で、行政書士の資格を活かして副業に取り組む人が増えています。
なぜ今、行政書士の副業が注目を集めているのでしょうか。以下2つの観点から解説していきます。
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国家資格としての信頼性
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独立志向やスキルアップを目指す社員が増加
国家資格としての信頼性
行政書士が副業として注目されている大きな理由の一つは、国家資格であることによって得られる高い信頼性にあります。
許認可申請の手続きや契約書・遺言書の作成支援など、専門性が高く正確性が求められる分野においては、行政書士という国家資格を持つ専門家に業務を依頼することが、依頼者にとって大きな安心材料となります。
企業に勤務する会社員が副業として行政書士の業務を行う場合でも、「国家資格」という肩書は、案件の獲得がしやすくなるだけでなく、クライアントとの信頼関係を築きやすくなるでしょう。
独立志向やスキルアップを目指す社員が増加
行政書士の副業が注目される背景には、社員のキャリアに対する意識の変化も影響しています。
かつては一般的だった終身雇用制度が崩れつつある中で、将来的な独立開業を視野に入れたり、専門性を高めて自身の市場価値を高めたいと考える社員が増加しています。
こうした独立志向やスキルアップを重視する社員にとって、行政書士の副業は非常に魅力的な選択肢となります。本業による安定収入を確保しながら、実務を通じて行政書士としてのスキルや経験を着実に積むことができるからです。
さらに、行政書士には定年が存在しないため、生涯にわたって現役で活躍できる専門スキルを身につけたいと考える人にとって、行政書士はとても魅力となっています。
行政書士の副業内容と実態

行政書士の副業と一口に言っても、その業務内容は多岐にわたります。社員が副業として行政書士業務を行う場合、どのような仕事内容が中心となり、実際の働き方はどのようになるのでしょうか。
ここでは、行政書士の副業における主な業務内容と、その働き方の実態について解説します。
主な副業内容は「相続・遺言支援、補助金申請代行、車庫証明」など
行政書士が副業として取り組む業務は多岐にわたりますが、特に副業として扱いやすいとされる主な業務内容を、以下の表にまとめました。
| 業務 | 業務内容・特徴 |
|---|---|
| 相続・遺言支援 | ・相続手続きに必要な戸籍謄本や附票などの書類収集 |
| 補助金申請代行 | ・国や地方自治体が提供する各種補助金や助成金の申請書類作成 |
| 車庫証明取得代行 | ・自動車の保管場所を証明する「自動車保管場所証明書(車庫証明)」の申請手続きを代行 |
自宅作業中心だが、平日日中に官公署対応が必要な場合も
行政書士の副業が注目される理由の一つに、パソコンやプリンター、電話といった基本的な設備があれば自宅を事務所として開業できる点があります。
一方、行政書士の業務には官公署とのやり取りが欠かせない点も特性の一つです。許認可申請や必要書類の提出、書類の補正対応、さらには担当部署への確認や問い合わせといった業務は、官公署の窓口が開いている時間一般的には8時30分~17時15分)に行う必要があります。
本業との兼ね合いを考慮しながら、柔軟にスケジュールを調整できる環境を整えることが、副業として行政書士業務を継続していく上で重要なポイントとなるでしょう。
企業側にとっての主な懸念点
社員が行政書士として副業を行うことは、本人のスキルアップや収入増につながる一方で、企業側にとってはいくつかの懸念点も存在します。
特に、本業への影響や、情報管理の観点からのリスクは無視できません。具体的にどのような点が懸念されるのか、ここでは以下2つのポイントについて詳しく解説します。
本業とのバッティング
社員が行政書士の副業を行う上で、企業側が最も懸念する点の一つが「本業とのバッティング」です。
行政書士の業務には、官公署への書類提出や顧客との打ち合わせなど、平日の日中に対応が必要なものが少なくありません。副業の依頼が増えてくると、有給休暇の取得だけでは対応しきれず、本業の業務時間中に副業の対応をせざるを得ない状況になることも考えられます。
また、行政書士の仕事量は月によって変動しやすいため、本業の業務に集中すべき時期に副業の対応に追われ、結果として本業のパフォーマンスが低下してしまうリスクは否定できません。
企業としては、このような本業への影響を最小限に抑えるためのルール作りや、社員との十分なコミュニケーションが不可欠といえるでしょう。
情報漏洩や利益相反
社員が行政書士として副業を行う場合、企業側にとって「情報漏洩」や「利益相反」のリスクも大きな懸念点となります。
社員が副業で得た顧客情報を、本業の業務に利用してしまったり、逆に本業で知り得た顧客情報やノウハウを副業に活用してしまったりする可能性は否定できません。
また、利益相反も注意すべき点です。例えば、本業の会社と競合する企業や個人から行政書士として依頼を受け、その業務を遂行することが、本業の会社の利益を損なう結果につながるケースが考えられます。
企業としては、社員に対して、副業を行う上で知り得た情報を適切に管理すること、そして本業の業務で得た情報を副業に流用しないことを徹底させる必要があります。具体的には、「情報管理に関する誓約書」を取り交わすなどの対策が必要といえるでしょう。
社員の行政書士の副業にどう対応すべきか

社員から行政書士として副業を行いたいという申し出があった場合、企業はどのように対応すべきでしょうか。
本業への影響や情報管理のリスクなどを考慮しつつ、社員のキャリア形成を支援する視点も求められます。ここでは、企業が社員の行政書士の副業に対応する上で押さえておくべき具体的なポイントを2つ紹介します。
就業規則と整合性を確認
社員から行政書士としての副業を行いたいと申し出があった場合、企業がまず行うべきことは自社の就業規則と照らし合わせて、その整合性を確認することです。
就業規則で副業が全面的に禁止されているのか、あるいは許可制や届出制となっているのか、社内ルールを明確に把握する必要があります。
副業を許可する場合でも、どのような業務範囲であれば認めるのか、本業への影響度はどの程度まで許容できるのかなど、個別の状況に応じて判断基準を設けることが重要です。就業規則の内容を再確認し、必要であれば時代に合わせて見直すことも検討しましょう。
届出制や面談によるリスク管理
社員の行政書士としての副業を認める場合、企業としてはリスク管理の観点から、届出制を導入したり、定期的な面談を実施したりすることが有効です。これにより、企業は社員の副業状況を把握し、潜在的なリスクを早期に発見して対応できます。
届け出制を導入する際には、以下の情報をヒアリングできるようにしましょう。
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顧客先情報(名称・連絡先・業務内容など)
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副業内容
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業務開始日時
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稼働時間(開始時間・稼働曜日など)
届け出られた情報をもとに、企業は副業が本業に支障をきたしていないか、情報漏洩や利益相反のリスクがないかなどを確認できます。
企業規模や業種によっては、法務部門やコンプライアンス部門と連携し、専門的な知見を交えながら副業のリスク評価を行うことも検討してください。
【まとめ】行政書士の副業、企業と社員の適切なルール作りと運用が重要
社員による行政書士の副業は、個人のスキルアップや収入増加に繋がる可能性がある一方で、企業にとっては本業への支障や情報管理といった懸念も生じさせます。
企業は、就業規則の整備や届出制の導入や面談などを通じて副業のリスクを適切に管理し、本業との両立を支援する必要があります。
社員と企業が互いにルールを遵守し、建設的な対話を持つことで行政書士の副業が双方にとって有益なものとなるよう努めましょう。
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