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2025/2/4

「副業解禁」は公務員の場合どうなる?自治体が知っておくべきトラブル事例や注意点

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公務員の副業解禁には、法律や規則の遵守が求められるだけでなく、勤怠管理や職務専念義務の徹底が重要です。

この記事では、公務員の副業に関する法律や実際に起きたトラブル事例を詳しく解説します。副業解禁を検討する自治体が注意すべきポイントについても触れるので、ぜひ最後までご覧ください。

公務員は副業してもOK?

公務員の副業については、一般企業の社員と異なり、法律による厳しい制約が設けられています。

その背景にあるのは、公務員が公共の利益を最優先する立場であることから、利益追求が目的となる副業がその本分を損なう可能性があると考えられているためです。

ここでは、国家公務員と地方公務員について、法律でどのように定められているのか見ていきましょう。

国家公務員の場合

国家公務員の副業は、国家公務員法の以下の条項によって禁止されています。

  • 第103条:私企業からの隔離

  • 第104条:他の事業および事務の関与制限

第103条では、営利を目的とするすべての企業や団体での役員、顧問、評議員としての就業、および本人による事業経営を禁止しています。

第104条は、営利目的でなくとも、所轄庁の上役や内閣総理大臣の許可なく、役員、顧問、評議員として就業したり、事務を行うことを禁じています。

地方公務員の場合

地方公務員の副業は、「地方公務員法第38条」によって制限されています。同条は、営利企業や団体での業務への従事や自営業による会社経営を行う場合、任命権者の許可が必要であると規定しています。

つまり、任命権者の許可なく行われた副業は、たとえわずかな報酬の単発アルバイトでも処分の対象となる可能性があります。

地方公務員の副業による実際に起きたトラブル事例

ここでは、地方公務員が副業をして、実際に処分を受けた具体例を3つ紹介します。どの例も厳重な処分を受けており、信頼を著しく失墜しています。副業に関心のある方は、同じ過ちを繰り返さないよう注意深くご確認ください。

【停職】消防職員が届出を出さずに、サッカーの審判員の副業

宇和島地区広域事務組合消防本部は18日、 宇和島消防署 (宇和島市)の30代の主査の男性が、 新型コロナウイルス禍で移動が制限される中、私用で南予を離れる場合に必要な申請の不提出や虚偽の申請を繰り返し、サッカー審判員としての報酬約117万円を不当に得たとして停職3か月の懲戒処分にしたと発表した。 処分は同日付。

処分停職3ヵ月
職業消防署主査
年代・性別30代男性
副業内容サッカー審判員として27回従事
所得117万円
備考・申請の不提出や虚偽申請を繰り返していた

【減給】市職員がスキー場でバイト

愛知県岡崎市は6日、 長野県のスキー場で約6年間、週末や祝日にインストラクターのアルバイトをしていたとして、市民病院事務局に勤務する40代の男性職員を減給10分の1 (3か月) の懲戒処分にした。

処分減給10分の1 (3か月)
職業市民病院事務局
年代・性別40代・男性
副業内容長野県のスキー場で約6年間、週末や祝日にインストラクターのアルバイト
所得計約112万円
備考・職場の雰囲気に馴染めず気分を紛らわす目的が発端

【停職】小学校教諭がカウンセリング業の副業

大阪市教育委員会は10日、 兼職兼業が禁じられているのに知人にカウンセリングを施して報酬約200万円を受け取ったとして、 市立小学校の男性主務教諭 (42) を停職2か月の懲戒処分にしたと発表した。

処分停職2ヵ月
職業市立小学校主務教諭
年代・性別42歳・男性
副業内容子育てや教育に関するカウンセリングやコーチング
所得約200万円
備考調査に対し 「報酬を受け取っていない」と虚偽の申告

神戸市は副業解禁に先駆けて取り組んだ自治体

法律に抵触する副業でトラブルとなるケースがある一方で、神戸市のように副業解禁に先駆けて取り組んだ自治体も存在します。

震災後の神戸市では、労働人口の低下が深刻な課題となっていました。そこで、人材不足の解消と職員の育成を目的として、神戸市は先駆的に公務員の副業を認める制度を導入しました。

神戸市が制定した『地域貢献応援制度』とは?

神戸市が制定した「地域貢献応援制度」は、一定の基準を満たす場合に公務員の副業を認める制度です。震災後の復興を担うNPO法人や地域復興団体は深刻な人手不足に直面していました。

この制度は、公務員がこれらの団体で副業を行うことを可能にすることで、地域貢献と人材不足の解消を両立させることを目指したものです。

神戸市が副業解禁に取り組んだ理由

神戸市が副業解禁に取り組んだ主な理由は、震災後の深刻な人材不足と、職員の育成です。市外への移転者増加により、NPO法人や地域復興団体は活動に必要な人材を確保することが困難になっていました。

「地域貢献応援制度」を通じて公務員の副業を認めることで、これらの団体の人材不足を解消し、円滑な復興活動を支援することを目指しました。

同時に、副業を通じて多様な経験を積むことで、職員の視野を広げ、スキルアップを促進する効果も期待されます。

自治体が副業解禁を導入する際に気を付けるべきこと

自治体が副業解禁を導入する際には、職員の権利を守りつつ、公共の利益や業務の効率性を確保するために慎重な配慮が必要となります。以下では、特に重要な2つのポイントについて詳しく解説します。

法律の遵守

副業を解禁する際には、国家公務員法や地方公務員法を厳格に守る必要があります。特に以下の点に注意しましょう。

  • 利害関係の排除:職務に関連して利益相反が生じないこと

  • 本職への影響防止:副業が公務に支障をきたさないこと

また、副業を行うには任命権者の許可が必要です。自治体は職員が副業を申請する際の基準やプロセスを明確化し、職員が安心して副業に取り組める環境を整えることが重要です。

勤怠管理の徹底

副業を許可する場合、適切な勤怠管理が重要です。本業の業務効率を維持しつつ、副業の機会を提供するためには以下の対応が必要となります。

  • 本業にくわえ副業の勤務時間も把握できる体制

  • 副業による負担が職員の健康や生産性に悪影響を及ぼさないように注意する

副業を許可する場合、労働基準法の観点から、本業と副業の時間管理ができる体制が重要です。また、副業が原因で過労やストレスが生じないよう、職員の健康状態を定期的に確認する仕組みを導入する必要があります。

【まとめ】公務員の副業解禁は適切な制度設計がカギ

公務員の副業解禁には、法律の遵守や勤怠管理、職務専念義務の徹底が重要です。 この記事の内容を参考にしながら、自治体ごとに適切なルールや制度設計を整備してください。

透明性と公平性を確保することで、副業解禁が地域社会と公務員双方にとって有益な取り組みとなるでしょう。

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