闇副業による潜在副業者による事故あなたの社員は「闇副業」していませんか?フクスケの調査では、会社員のうち約26%が会社に届出をしない”伏業”の経験者です。日本では労働者が勤務時間外の時間に行う副業は禁じられていません。。就労規則で副業を禁止してしまうと、優秀な社員であるほど余計に「伏業」に走らせてしまいます。社員の副業を適切に管理し、本業と副業先との二重雇用といったトラブルを未然に防ぐことが大事です。副業事故の事例「二重雇用により本業先に副業がバレた」大型電子機械メーカーにエンジニアとして勤めるAさんは勤続は10年。つくるよりも、こなす業務が増えてきたことに危機感を持っており、より成長できる機会を探していました。会社ではそれなりに責任ある立場で、待遇には満足していたので、成長機会を副業として探したところ、知人の紹介で、中小金属加工会社の製造管理のITコンサルタントしての業務を2018年11月頃に開始しました。しかし、Aさんは2019年3月、約4ヶ月で副業を辞めざるを得なくなりました。就労規則で副業を禁止していた本業先にAさんの副業が認知されてしまったためです。Aさんは、就労規則で副業が禁止されていることを知っていましたが、政府が副業を推進している流れから「そのうち自社も副業解禁になるだろうと」という楽観的な自己解釈で、副業に踏み出しました。副業先には契約社員として「雇用契約」を締結し、参画していました。ところが、社会保険料の請求によって、本業先に副業が認知されてしまいます。Aさんは契約社員なので、本業先、副業先、それぞれに社会保険の支払いが発生します。収入に応じて雇用先ごとに請求される社会保険料が異なるため、本業先の社会保険料が変更となったことがきっかけで、Aさんの副業が認知されてしまいました。結果、Aさんは就労規則違反として出勤停止の懲戒処分を受け、副業を辞めらさせられることになりました。副業の禁止は社員を「闇副業」に向かわせる2018年1月に厚生労働省が「モデル就業規則」にて、 副業を「原則禁止」から「原則容認」となったのを追い風に、副業を推奨するサービスが増加傾向にあり、この流れは今後も加速することが予測されます。会社のガイドラインが未整備な状態で、従業員の副業が増加してしまうと、Aさんと本業先のようなトラブルが増えてしまいます。フクスケの調査では、会社員のうち約26%が会社に届出をしない”伏業”経験者であることがわかりました。特に優秀な人材ほど、副業を通じたスキルアップや収入アップを指向するため、「副業を完全に禁止」にしてしまえば、社員との信頼関係の溝を深めることにもつながります。社員を守り、トラブルを未然に防ぐ副業制度の構築今回のケースの場合、Aさん、本業先の会社はどのようにすれば、このような副業事故を防ぐことができたのでしょうか?それぞれの立場で考えてみます。ます、Aさんについて。Aさんは就労規則で副業が禁止されていることを知りながら、会社に黙って副業を開始していました。このような会社で副業を認めてくれるケースは多くはありませんが、正しい流れとして、会社に一言相談をするべきだったでしょう。また、Aさんは副業や二重雇用のことをよく調べずに、業務委託契約ではなく、契約社員という「雇用契約」を締結してしまったことも問題でした。二重雇用での雇用保険や健康保険を巡るトラブルも増えてきています。本業先の機械メーカーについて。2018年1月に厚生労働省が「モデル就業規則」が変更になったこともあり、副業を完全に禁止することは、労使間の信頼関係の面からも難しくなってくるでしょう。従業員や会社を、意図しないトラブルから守るために、副業は「禁止」ではなく「届出制」にすることをフクスケでは推奨しています。従業員の副業に意図しない利益相反や情報漏洩から会社を守るだけでなく、取引先の反社チェックや、契約に関するアドバイスを行ったり、従業員を守る取り組みを行うことも重要です。--取材・執筆: 石塚 健朗 (いしづか たけろう)学生時代よりVC等でスタートアップや大手企業の新規事業創出支援。面白法人カヤックを経てマーケティングブティック「KIUAS」創業。サウナと北欧が心の故郷。Twitter: @Takeroishi