導入企業情報企業名株式会社りそなホールディングス業界金融業種銀行業部門人財サービス部規模25,029名(連結)売上規模9,416億円導入プロジェクトの概要導入前の課題リスク管理と働きやすさの両立フクスケの支援HD全社統一のコンプライアンス研修、リスク診断窓口の提供経緯全社での副業制度の刷新利用サービス年度監査、安全配慮サービス(通算機能)概要株式会社りそなホールディングス様では、4つの銀行がグループとして協働する中で「副業制度をどう整備し、運用していくか」という点が課題となっていました。2024年度の段階で副業については旧制度があったものの、社会の動きやリスク管理の観点から改めて見直しが必要となり、2024年4月に新制度をスタート。その際、弊社の副業制度運用サービスを導入いただき、申請・審査フローの最適化や研修・リスク診断といった支援を行っています。―本日は、副業制度導入前の課題などについて、石原さまと村重さまにお話をうかがいます。まずは、そもそも社内で副業制度を見直す必要が出てきた背景を教えていただけますか?導入前の社内課題:イノベーションとリスクの両立石原様「弊社では社会の動きや人的資本経営、リスク管理の観点から改めて副業制度の見直しが必要となり、2024年4月に新制度をスタートしました。制度の検討当時は会社としても制度が整えられないままでは、“黙って副業”してしまうリスクや、違反リスクが高まってしまうというリスク管理の側面と「働き方の多様化を推進すべき」「人的資本を活かしたイノベーションにつなげたい」という人材投資の考え方とのバランスを取ることが必要でした。もともと当社は金融業ということもあって、コンプライアンスには厳格ですが、一方で社員のキャリア形成やイノベーション推進の観点から、『やるならリスク管理の仕組みを整えて解禁していく必要がある』という流れになりました」特に難しい課題は、他の企業様同様に社内でも『副業を許可すべき』という意見と、『リスクが大きいので慎重に運用すべき』という意見の両方があったことですね。金融業の場合、情報漏えいリスクや利益相反リスクなど、他業界よりも注意すべき点が多いです。しかも、複数のグループ会社や銀行が存在していて、リスク感度や文化がそれぞれ微妙に違う。そこを横断的にまとめる必要がありました。」―実際、制度設計をするうえで、一番難しかったポイントはありますか?石原様「いちばん苦労したのは『どんな副業が、どんなリスクをはらんでいるか』を明確にするところです。申請が想定外の内容だった場合、上司や人事担当者が即座にリスクを判断できないと、対処を誤る可能性があります。ただでさえ“金融機関の社員”という立場が絡んでくるので、一般的な副業ルールをそのまま当てはめるのも難しい。とはいえ、最初から全部を禁止にしてしまうと、本来の働き方の多様化や自己実現を容認する会社の方針とも合わない。リスクとメリットの両面を検討して、バランスをとる必要がありました。」「当時は、どんな副業申請が来るのかイメージできず、社内に事例も少ない状態のため、社内の認識を一本化することも大きな課題でした。部署によっては『副業は必要だ』という機運が高いのに、別の部署では『リスクしかないから反対』という様々な声もあり『運用が始まってから判明するリスクやトラブルはどうすればいいのか』と不安になる声もありました。」小林「副業の実態がわからない中では、そうした様々な意見がでて、空中戦になりやすく関係者が多いほど結論を出すのが難しくなりやすいですね。」石原様「はい、そこをフクスケさまからいただいたデータやご意見など第三者の専門的な視点も取り入れながら、実例やリスク事例を共有して、徐々に社内の理解を広げていった、という感じです。」―副業制度が整備されないリスクについておしえていただけますか?石原様「そうですね。これだけ副業が一般化する中では、黙って副業をされると会社として一切把握できず、実際にトラブルが起こったときには手遅れになります。また金融機関の場合は法令順守が最優先なので、違反とみなされると社員の処分問題にも発展してしまう。それを避けるには、むしろ“申請しやすい制度”を作っておくことが重要だと考えました。厳しすぎるルールにしてしまうと、かえって申請が減って、結果的にリスクをコントロールできなくなる可能性があります。」―副業を容認する立場の方々と、リスクを警戒する声の折衷を図った結果、新制度を導入することになったわけですね。石原様「はい。実際にはかなり議論がありましたが、最終的には経営陣も含めて『リスクとメリットを天秤にかけつつ、適切に管理しながら解禁するほうが良い』という方向で合意が取れました。とはいえ、それを運用していくためには、各行で同じ基準を共有する仕組みが必要になりました。そこで、第三者による副業リスク診断サービスなどを活用しながら、具体的な申請・審査フローや研修を整えたんです。これから法令改正も控えているので、しっかりと制度を回してデータを蓄積し、さらにアップデートしていきたいですね。」副業制度導入の決め手となる専門的な第三者診断フクスケを導入しようと決めた理由について教えてください石原さま「議論を進めるうちに、前述の通り、どうしても“どんな副業が申請されるのか”“その中に潜むリスクは何か”という点が見えづらいという課題がありました。多種多様な副業が存在するため、特に金融機関は、コンプライアンス面で通常の企業以上に慎重にならざるを得ないため、情報漏えいリスクや利益相反、二重雇用の問題など、1件1件に幅広いリスクを考慮しつづける必要があります。そこで、事前のコンプライアンス研修や副業1件毎に第三者の専門家による客観的なチェックを提供し続けてもらえる仕組みは非常によかったです。万が一、管理者側が対応を間違った際に従業員とも衝突しかねないため、第三者の客観的なデータをご提供いただく安心感がありました。いざ、これを内製化しようとしても非常にコストがかかる事が予想されたため、導入を決めました。導入となった決め手は、他社の事例やリスク診断レポートを見せてもらったときに、“これなら当社の中でも運用イメージが持てそうだ”と感じたことですね。」村重さま「“リスクとメリットを両立しながら、副業を容認できるサービス”だったのがよかったです。リスクは0にはできない中、副業でのトラブルは従業員一人ひとりのモラルに依拠せざるをえない課題があります。フクスケでは、各申請案件ごとにリスクレベルを事故事例とセットでB・Cなどで本人に事前共有してくれる仕組みや、副業特化のコンプライアンス研修で事前に社員に注意喚起を行いながら“黙って副業してしまう潜在リスク”を周知する仕組みがあるなど、金融ならではの懸念点に配慮されている点が大きかったです。導入前にいろいろなパターンの具体的事例を提示してもらえたのも助かりました。“他社でのアルバイト”から“コンサル業務”まで幅広い副業があり得ると知って、あらかじめ制度設計に盛り込めたことは大きいと思います。」社員が”言い出しやすい”申請工程による多様化と安全性―実際に導入されて、どのような効果・変化がありましたか?村重さま「まず、申請件数が想定以上に増え、“隠れたリスク”が表面化してコントロールしやすくなりました。結果として、コンプライアンス的にも安心感が出てきました。従業員が申請しやすい仕組みになったおかげで、“実は前から副業していた”ような方もきちんと申告してくれるようになりました。そういうケースはリスク管理の面で早めに対処できるので、結果的に安心感が増しています。また、“第三者+人事”の段階でリスクをチェックしてから上司に報告するフローにしたのは、非常に好評でした。従来ですと、『まず上司に相談→上司がリスクを判断してOK/NG』という流れだったんですが、とくに金融業界は“もし間違ってOKを出してしまったら”という不安も大きいため、上司が副業の可否を即断するのは心理的にもハードルが高く難しい業務だったと思います。今はフクスケと本人、人事が“これはこうした注意が必要”といった形で事故事例を元にした最初の診断をしてくれますし、そのうえで最終報告を受けるので、社員も申請しやすいと聞いています。」石原さま「前述の通り、副業の判断は人によって非常に感覚や認識が異なってしまいます。その状態ですべての判断を上司と相対させて決めきるのは極めて難しいうえ、副業開始前など実態がわからない、実施するかもわからない段階であった場合はなおさらです。そうした段階でも、上司に代わり運営側がフクスケを通してある程度の共通理解をリスクベースで構築できるのは非常に良かったです。申請フロー上で第三者(サービス)と人事がリスクを事前に洗い出してくれるので、現場の上司にとっては非常に助かっています。『自分が副業の可否をいきなり判断しなければいけない』というプレッシャーが減り、円滑に承認まで進められるようになりました。副業者本人も申請がしやすい、副業することを言い出しやすいため多様な副業の申請があがるようになりました。」――社員の意識や会社としてのリスク対応に、具体的な変化はありましたか?「前提として、すべてのリスクがゼロになるわけではないんですが、少なくとも社員一人ひとりが“自分の副業にはこういうリスクがある”と理解したうえで申請・活動できるようになったのは大きいですね。各副業事に変わる最新のリスクをキャッチアップできることも安心感につながったとおもいます。サービス利用時に必須のコンプライアンス研修を受け、申請時に必ず個別の副業に応じたリスクを再確認する仕組みがあるので、自然とコンプライアンス意識が高まりました。結果、想定よりも今まで申請されなかった、多種多様な副業の申請も増えており、本来議論していたイノベーションや多種多様な選択ができる環境が提供できるようになったと思います。会社と従業員双方に注意が必要な副業内容があった場合、判断に迷うこともありますが、具体的なリスクを事前に素早く知る事ができるため、従業員へのスムーズなコミュニケーション対応が実現できております。今後は副業の法改正や社会情勢の変化による新しいリスクへの対応など引き続きのサービスアップデートを期待しております。