はじめに2024年度に予定されている副業ガイドラインの見直しについて、内閣府が実施している「働き方・人への投資ワーキング・グループ」内で行われた「副業円滑化への規制改革推進会議」が12/5(火)に実施、公開されました。本記事は会議内での有識者と厚生労働省で問題となっている副業制度に関わる課題を解説します。中でも、二重雇用時の副業使用者による割増賃金支払いと本業先での労働時間通算について議論が行われました。これらの規定により、副業者を真正面に雇用することが困難になっている現状が指摘されています。本編はYoutubeで公開されており、下記URLより視聴が可能です。【LIVE配信】第3回 規制改革推進会議 働き方・人への投資ワーキング・グループ有識者による副業・兼業を取り巻く課題会議内では2018年のモデル就業規則での副業規約の改定から、年々副業を容認して副業者者を送り出す会社が増えている中、副業者を受け入れている企業が増加しておらず、副業意向がある副業者が副業実施に繋がらない課題が発生している。中でも副業者への労働者性の判断基準の曖昧さや労務管理の煩雑さや割増賃金負担が副業使用者側で大きな課題として上がっている。労働時間通算への企業の根強い抵抗による偽装請負の温床化副業者の労働安全衛生を目的とした本業先と副業先との労働時間の通算は副業・兼業促進を阻害する最大の要因になり、割増賃金への支払いへの企業の抵抗感も強いことが会議であげられた。更に別の問題として労働時間通算を割けるために、送り出し方の本業先が非雇用型(業務委託など)限定で副業を承認することで、副業者に対する副業の偽装請負などの新たな問題の温床化になり労働者保護を目的とした労働時間通算施策がむしろ労働者保護に繋がらない状況を産んでいるのではないかという現状の課題を見直す必要性を問う意見が有識者から出た。また、上場企業内でも雇用型の承認、非承認や管理方法にはバラつきが発生しており各社手探りかつ、制度設計と運用への苦労が耐えない状況が伺えた。副業・兼業の運用に対するヒアリング結果課題に対する厚生労働省との規制撤廃にむけた協議割増賃金の支払いは、企業側のコスト負担増につながり、一方で雇用形態を偽装請負にしてしまう状況を生み出しています。また、労働時間通算は、副業者の健康管理上必要なものである一方で、管理が煩雑という問題があります。このような課題を解決するため、有識者から厚生労働省に「割増賃金の削減による労働時間通算の簡素化」の提案がされました。これが採用されれば、企業側の負担軽減と副業者を使用するハードルの低減が見込まれ、副業者の増加が見込まれると提言されています。具体的な改定内容はまだ明らかにされていませんが、この会議の内容を踏まえると、人事部門は副業ガイドラインの見直しに備えるべきだと言えます。今後の動向を注視しつつ、副業者の増加や制度改定に対応できるよう、今回の議論の動画内での各有識者や政府の温度感を確認し副業制度の見直しや必要な準備を進めていくことが求められます。厚生労働省と有識者の協議点まとめまとめると、「働き方・人への投資ワーキング・グループ」によるこの会議は、2024年度の副業ガイドライン見直しに向けた重要な議論を提供しています。これらの議論は、政府が副業者の増加を強力に推奨することとそれに伴う企業側の制度改定が求められる今後の動向を予見するための重要な手がかりとなるでしょう。一方、労働時間通算や割増賃金など、労働安全衛生が解決された場合も、本質的なリスクとして競業避止や情報漏えいなどのリスクは以前として注意が必要という課題にも言及され、副業者が増加する中では引き続き制度運用者へ求められる課題は残るが、労務面での一部負担の軽減につながる可能性が見えた。第3回 働き方・人への投資ワーキング・グループ 議事次第