本調査は株式会社フクスケが実施した副業・複業事前申請に関する実態調査です。今回の実態調査は第二弾になりますが、前回の調査では「就業者の26%が会社の許可をとらない副業(伏業)経験者」という結果が得られています。そこから、今回の調査では「なぜ副業の届出しないのかの理由」や「現状の制度不全原因を調査」、「副業者に潜む潜在リスク」など、副業者に関してより詳しい実態を調査をしました。調査を通じ、副業者が実際に抱える問題をはじめ、企業として副業者に対し、どのように対応していかなければいけないのかを、より具体的な指標とともに提示していきます。調査概要調査期間:2020年8月24日-8月29日対象:副業経験のある会社員(22歳-50歳)サンプル数:600サンプル業界/農業・林業・漁業・鉱業、建設業、製造業、情報通信業、金融・証券・保険業、不動産業、サービス業、運送・輸送業、電気・ガス・水道業、商社・卸売り・小売業、医療・福祉、教育業、出版・印刷業、メディア・マスコミ・広告業、調査業・シンクタンク主な調査項目:副業制度の有無や届出、副業に関する知識、副業の経路、副業時の契約、税務周り、情報の利用についてインターネットリサーチ調査エグゼクティブ・サマリー● 副業経験者の50%が会社に副業を届出 ○ 副業制度があるにもかかわらず伏業する人は25%● 会社に副業を届出しない理由 【1位】「プライベートでの副業を知られたくない」 【2位】「制度告知されていない」 【3位】「本業先が副業を解禁していないため」● 副業者におけるリテラシー調査結果 ○ 情報セキュリティ編 ■ 半数以上がセキュリティ研修を受けていない ■ 伏業者で研修も受けてない人は70%以上 ○ 法務編 ■ 契約書、NDA、反社チェック実施度は半数以下 ○ 副業のきっかけや動機 ■ 副業は「友人経由」「友人の会社経由」が半数以上副業経験者の50%が会社に副業を届出副業をしている人のうち、2人に1人が会社に副業を届出している状況です。2018年からの副業解禁を考えると比較的多くの副業者が本業先に届出をしていると言えます。一方、副業制度があるのにもかかわらず、副業の届けていない人は、258人中65人います。これは副業をしている人のうち、約25%の人が副業制度を導入していたとしても、副業の申請を行っていないことになります。この結果から、会社としては「副業制度を導入しているからトラブルに巻き込まれない、安心」と言える結果ではないと思われます。一方、副業経験者において会社に副業制度が存在する割合は43%でした。この結果から、副業経験者が所属する会社の半数以上は副業制度が存在しないという現状になっています。以上より副業制度がないことや、伏業者が50%いるという現状から、会社が伏業者の実態を把握できていないケースが多いと思われます。そして、それに起因するトラブルが会社と伏業者間で起こってしまう可能性があるので注意が必要です。会社に副業を届出しない理由会社に副業を届出しない理由として「プライベートでの副業を知られたくない」「告知されていない」「副業を解禁していないため」が多くを占めています。本業時間外へのプライバシー配慮がない制度や会社を守るための一律の副業禁止が本来の目的と反する状況を生み出している。副業者リテラシー調査結果【情報セキュリティ編】副業者の半数以上は情報漏洩被害などの研修を受けていません。会社側としても情報漏洩の研修をどのように行えばいいのか分からないケースもあると思います。このような状態で副業を解禁してしまうと、副業者が十分なリテラシーを得られていないため、本業先の情報漏洩のリスク、副業先から本業先へのコンタミネーションリスクに繋がります。また、会社に副業の届出をしておらず、研修も受けてない人は300人中212人います。これは70%にも達します。このような状態で副業をしていると、いつ問題が起きてしまってもおかしくありません。副業者リテラシー調査結果【法務編】副業を会社が把握する理由として、反社と関わらないためや、競業避止など、法律の文脈も絡んできます。反社チェックを行っている副業者は半数以下になっています。契約を交わさずに仕事に取りかかったことがある人が半数以上です。また、NDAを結んで副業をしている人は26%に留まっています。前章で記載した「副業先で知り得た情報を本業先でも利用している人」は22%に上りますが、「情報漏洩被害などのセキュリティ研修を受けている人」において、「反社チェックを行っている人」は63%(170/268)と半数を超えます。また「NDAを結んでいる人」は48%と数値が上昇しています。研修はこのような副業で働くための一般的にやらなければいけないことを学べるケースが多いからと推測できます。副業者がそれらのリスクを自分で理解し、仕事に従事しているのであれば問題ないのですが、リスクを知らない状態で副業を行うのは危険です。本業としてもそのようなトラブルに巻き込まれないために副業状況を把握している文脈もあると思われますが、それらを副業者は理解しなければなりません。今後より副業者が増えてくる場合、会社と副業者はより注意しなければいけません。副業者が研修や副業のための基礎知識を何かしらの形で得ることの重要性が上がってくるでしょう。副業者リテラシー調査結果【動機、税務編】副業の紹介は「友人の会社や友人からの紹介」や「自分で営業」している人が多いです。特に「友人の会社」と「友人からの紹介」を合わせて半数を占めていますので、知り合い経由で副業を始める人が多いこどが分かります。この結果から、副業は気軽に始める人が多いと思われます。その結果、契約や情報漏洩の知識を得ずに副業をしてしまうため、様々なトラブルに巻き込まれてしまう可能性が潜んでいます。また、確定申告などの税務周りの把握をしていない副業者は40%を上回ります。税務周りは副業をするにおいて、複雑になる項目の一つです。理解をした上で副業に従事することが、副業者にとってメリットになるケースが多いので、今後税務周りの需要は増えてくると見込まれます。まとめ副業者増加と共に伏業含め様々なリスクが混在しています。それは会社にとっても、副業者にとっても同じです。今後より、副業に関するリスクを企業と副業者双方どのようにして回避していくか、過重労働問題のみにとらわれず、情報セキュリティ、法務、含め広く検討することが重要になっていくと思われます。本件へのお問い合わせinfo@fkske.com